歩歩高賦解説


 少年十五出初陣、與其姉夫去行軍。
 当成弱年昇将帥、随小覇王而立功。
 男子壮年志学問、暗春秋兮已非阿蒙。
 人到強年作都督、説如此是歩歩高。

(少年十五にして初陣に出で、姉婿と行軍に去り
 まさに弱年にして将帥に昇進し、小覇王に随いて功を立てる
 男子壮年にして学問を志し、春秋を暗じ已にして阿蒙にあらざり
 人強年都督となり、かくの如きを歩歩高という)

 はじめにお断りしておきます。
 この賦は私こと介子嘉が呂蒙を題に詠んだものです。
 歩歩高賦というのは、実際にあるものではありません。
 ということでここで漢詩の作法に従っているのは、同字を使わないということだけです。

 歩歩高とは中国語で「とんとん拍子に出世する」という意味を持っています。
 呂蒙という男は、「歩歩高」というにはあまりにも苦労人であると自分で思います。
 それでも少年時代から比べて、従軍しないよりははるかに出世した知将への賛辞として「歩歩高賦」を作ってみました。
 上に詠んだものは題名にあるとおり「賦」と呼ばれるものです。
「賦」というのは「六義」と呼ばれる詩の形式のひとつです。
六義とは
各国の民歌
周王朝の王都の歌
廟堂の祭祀の楽章
叙事
比喩
事物を借りて興を起こす
 以上の六種類が六義です。
 また漢詩には、唐代以前までに作られたものと、唐代以降に作られたものとがあり、前者は「古体詩」と呼ばれるもので、後者が韻を踏むことを必要とするものです。
 漢詩(唐詩)とは通常詩の形式が確立された唐代以降の詩で、五言と七言、絶句と律詩にわかれ、五言では二句目と四句目、七言では一句目と二句目、四句目に韻を踏む必要がありますが、古体詩では韻を確実に踏まなければならないという決まりがないため、四言や六言も含まれ、韻は踏まれていないものがほとんどです。
 曹操の「短歌行」や諸葛亮の「梁父吟」も古体詩に含まれます。

 今回一応呂蒙が主題なので、漢代から三国時代の人ということと韻を踏むのが面倒だということで古体詩にしました。
 最後にCMをひとつ、中国文学、中国史ファンの皆さん、二松学舎大学には日本で唯一の(ということだ)「漢詩研究会」があります。
 文化祭では一般の訪問者さまも簡単に漢詩を作れるコーナーを設けています。また私の所属する中国語同学会(リンクページにリンクがあります)では中国語劇を上演。
 興味のある人は一度二松学舎大学の文化祭へおいでくださいませ。

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